雛人形の出し飾り型とは、その名の通り人形を箱から出して飾るスタイルの雛人形です。豪華な段飾りや飾り台に人形が収まる収納飾り、コンパクトな平飾りなどがこれにあたります。
一方取付け型とは、人形や道具が固定されている状態のものを指します。いわゆるケース飾りの雛人形がこちらにあたります。飾り付けの必要がなく、箱から取り出してすぐに飾れるという手軽さが魅力です。
実はこの他にも取付け型と出し飾り型で異なる大きな特徴がもうひとつあります。
一般にはあまり知られていない、雛人形業界しか知らない違いについて詳しく解説していきます。
ぜひこれから雛人形を選ぶ方は参考にしてみてくださいね。
雛人形の違いについて 〜お殿さま〜
出し飾り型と取付け型の大きな違い、それは「人形の仕立て方」です。
通常取付け型の人形はケースに固定されており、ケース越しでしか見ることができません。間近で見たり触れたりすることができないため、そういった部分は製作の段階で省略することがあります。
実際の男雛のお写真がこちらです。
左が取付け型、右が出し飾り型のお人形の袖の部分のアップになります。
袖の中央あたりの縫い合わせにご注目ください。
出し飾り型では、本物の装束と同じように袖に縫い合わせがあります。(画像右)
一方、取付け型では殿の袖は縫い合わせを省略しているものが多く、シンプルな作りとなっています。(画像左)
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取付け型
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出し飾り型
雛人形の違いについて 〜お姫さま〜
女雛の場合も取付け型と出し飾り型ではお人形の仕立てに違いが見られます。
次は裾の長さや形に注目してみましょう。
出し飾り型は、裾の形が縁起のよい末広がりになっています。さらに袖や裾の重ねの仕上がりもきれいです。(画像右)
一方、取付け型の裾は一直線でカット仕上げされています。出し飾り型と比べると裾も短く、使われている布地の量が少なくなっているのが分かります。(画像左)
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取付け型
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出し飾り型
なぜこういった違いが生まれるのでしょうか?
それは、伝統的な雛人形の製作方法に起因しています。
雛人形は今もなお、人の手で一体一体丁寧に時間をかけてつくられています。熟練の技術を必要とするために、一年に職人が作れる数には限りがあるのです。それにより "在庫が少なく、価格が高くなりやすい" といったことも起こります。そういった状態を少しでも改善し、よりお求めやすく多くの皆様にお届けするために、手間やコストを省略するための工夫がなされているのです。
必ずしもどちらが良いというものでもありませんので、雛人形を選ぶ際は、「何を重要視するのか?」を最初に考えることが大事かもしれません。
予算から選ぶのか、上質さを重視するのか?
お雛様のお顔や表情、お衣装の柄や飾り台の素材も気になるところです。
それに、お部屋の雰囲気との相性やサイズなども重要ですね。
ご自身の希望に合った雛人形を見つけるために、最初にイメージを固めておくことがオススメです。
まとめ
今回は知られざる雛人形の特徴をご紹介しました。全ての雛人形に当てはまるわけではありませんが、一般的に流通しているものにはこういった特徴が見られます。雛人形を選ぶ際にぜひチェックしてみてくださいね。
また、てづくり工房 木都では「出し飾り型」の雛人形を使用したケース飾りもご用意しております。
通常のケースタイプと違い、親王台以外の設置箇所は固定されておりませんので、手にとってお人形の細部までご覧いただけます。
手間をかけた伝統的な技法で作られた出し飾り型のお人形や、木のぬくもりを感じる無垢材で作られたお道具…。
本物の素材や質感をお子様とご一緒に手に取って飾る体験をしてもらいたい為、あえて飾る手間を残したこだわりの雛人形です。ぜひ一度ご覧ください。